材料分析
マテリアルの価値を見極める
正確な材料分析は、先端材料や機能性材料の創製に不可欠です。
私たちは銅、ニッケル、金などの材料について、正確な成分組成や定量分析などを行い、幅広い材料分析のニーズにお応えします。すべてはここから始まります。
Cu 銅
私たちの生活において重要な金属である銅。導電性に優れた工業材料である銅について、滴定法を用いて原料を分析し、銅の含有量を調査します。そして、価値のある銅を選別すると同時に、他に含まれているメタル成分も特定します。
銅サンプリング
電線からエレクトロニクスまで幅広い用途に利用され、電気文明を支えるベースメタルである銅。 電気銅を生産するための原料である銅精鉱は、南米・オーストラリア・東南アジアなどの鉱山から輸入しており、取引価格を決定するための代表試料のサンプリング、試料調製を実施しています。
銅電解分析
電気分解による銅の分析。青く溶けた銅の液体に白金性の電極を入れ、弱い電流を流すと、銅は陰極(マイナス)に引き寄せられ、白金電極にくっつきます。この重さを量る事で、高濃度な銅の含有量を決定します。
銅滴定法
電位差滴定による銅の分析。銅を含む溶液にいくつかの試薬を加え、EDTAでキレート滴定を行い、電位の変化から銅の含有量を決定します。オートサンプラーを活用する事で、夜間に無人で分析が可能です。
Au 金
金などの貴金属の分析には迅速で正確な乾式試金法が採用されています。これは原料に含まれる貴金属に鉛を吸収させ、その鉛を骨灰中にしみ込ませて貴金属だけを取り出す方法であり、16世紀末に始められた「南蛮吹き」がルーツ。歴史ある乾式試金法は、貴金属分析の国際規格(ISO)として、世界中の分析所で採用されています。
金サンプリング
金は、宝飾品、投資対象のほか、化学的に安定していることから、電子材料、めっき材料として広く使われます。世界でも有数の品質の高さと国内トップの産金量を誇る菱刈鉱山から産出される金鉱石中の貴金属含有率を評価するため、サンプリング、試料調製を実施しています。
乾式【融解】
金、銀などの貴金属の分析結果をより正確に出すため、世界的に乾式試金法で分析は行われます。世界を相手にする時には絶対に欠かせない分析です。分析試料に各種溶剤を加え、1200℃の高温で試料は溶解されます。真夏は特に大変な作業で、水分・塩分の補給が欠かせません。
乾式【鋳込み】
【融解】された試料は高温のまま鋳型に流し込まれ、冷やされます。この時鋳型の底で鉛に捕集された貴金属が固まります。次の【灰吹き】工程で鉛から貴金属が分離されます。
乾式【灰吹き】
【鋳込み】で得られた貴金属を含む鉛をカラミと分離した後、約850℃程度の灰吹き炉に入れ、鉛をキューペルと呼ばれる灰皿に吸収させ、貴金属だけをキューペルの上に残します。
秤量
【灰吹き】で得られた貴金属のわずかな粒(ビードと言います)を0.1㎍まで量れる天秤を使って重さを量ります。ビードをピンセットでつまむだけでもかなりの熟練を要します。 わずかな振動や温度変化でも分析結果に影響を与えるため、非常にデリケートな天秤です。
Ni ニッケル
ニッケルは、ステンレスをはじめとして電子・電池材料や航空宇宙産業などにも用いられ、先端産業を支えるメタルです。電気ニッケル、硫酸ニッケルなどを生産するための原料の取引価格を決定するための代表試料のサンプリング、試料調製を実施しています。
ニッケルサンプリング
ニッケルは、ステンレスをはじめとして電子・電池材料や航空宇宙産業などにも用いられ、先端産業を支えるメタルです。電気ニッケル、硫酸ニッケルなどを生産するための原料の取引価格を決定するための代表試料のサンプリング、試料調製を実施しています。
ニッケル試料溶解
溶けると緑色になるニッケル。様々な形のニッケルを様々な試薬を駆使しながら熱をかけ溶かしていきます。わずかな溶け残りも許されない、緊張する前処理です。
ニッケル滴定
溶かされたニッケルはいくつかの試薬を用いて滴定を行う事で含有量が決定されます。この滴定の終点はベテラン作業者の色の濃淡の判断で決定されます。様々な経験をして熟練作業者になっていきます。
Ni(OH)2 水酸化ニッケル
電池原料となる水酸化ニッケルの分析では、製品規格と分析値が適合しているかを確認することが重要です。分析にはサブppmオーダの厳しい制度が要求されます。この分析結果をクリアすることで、電池の品質性が照明されます。
化学分析
電池正極材を自動で溶解して化学分析を行います。
物性分析
比表面積などの物性特性はオートサンプラーで測定します。
環境分析
分析の力で環境を守る
自然界にある様々な原料を用いて私たちの生活に必要な材料を生産している以上、少なからず環境や生産活動に従事する人たちへの負荷は生じます。住友金属鉱山グループの各生産拠点ではそれらの負荷低減を行っておりますが、STRはこれまで培われた分析技術を生かして環境・作業環境測定を行い、その結果を提供することにより、各生産拠点やその周辺の環境保全の維持、向上に貢献しています。
- 各工場から排出されるガスについては、専用の測定車により現地測定を可能とし、低濃度の排出ガスまで正確かつ迅速に分析を行います。
各拠点で定期的な測定を実施、データを迅速にフィードバックすることにより、大気汚染の防止に努めています。
- 工場の放流水や河川・湖沼・海域など公共用水域の水質汚濁状況の調査を行っています。
また、底質に含まれる有機物、有害物の調査では、これまで培われた金属分析に関する分析技術を環境分析に適用して有害物質等の有無を確認しています。
- 各拠点で様々な物質を取扱う作業場所において測定を実施しています。各作業場所で粉じん、金属、特定化学物質、有機溶剤の作業室内への拡散を調べるために、ポンプを用いて空気中のそれらの成分を捕集し、分析及び管理区分の評価を行います。
このような取り組みにより作業者にとって安全で快適な職場づくりをサポートします。